さいしょに
- 2020年1月13日追記
2019年12月、下北沢・DARK END OF THE STREETオーナーの中島裕さんが急逝されました。
この記事は、アーカイブとしてご覧いただけますと幸甚です。
レザーのカスタムオーダー
ずっとレザーのカスタムオーダーが可能なお店を探していました。久々に下北沢・珉亭のチャーハンが食べたくなり、向かった時にたまたま出会うことができました。東京・下北沢にあるレザー製品のカスタムオーダー、DARK END OF THE STREETです。
DARK END OF THE STREET
場所
〒155-0031 東京都世田谷区北沢2丁目33−11 野崎ビル1階
DARK END OF THE STREETというと、有名なジャズの名曲があります。その曲から名付けたのかは今度聞いてみようと、いつも思って忘れたままになってしまいます。
縁を繋ぐMoto Guzzi
お店の外観も気になるところだったのですが、実は一番最初に惹かれたのは店頭に置いてある、Moto Guzzi + MAGNIという激レアバイク!その時の写真が見つからなかったのですが、Google Map(以下)の通り、この映像が目の前に飛び込んできたのです。
早速お店の中に入り、レザーのお店なのにMoto Guzziのことでオーナーの中島裕さんに話しかけたのが始まりでした。
そして、次回は・・・
Moto Guzziで乗り付け
自身のMoto Guzziに乗って来ます!という勝手な宣言通り、お店にお邪魔しました。
異なる形にインストールされたMoto Guzziのエンジンと、イタリアンバイクの造形美に話は尽きず、そしていい歳したおっさん2人の撮影会になったのです。
閑話休題
ですが、バイクの話だけをして、お仕事のお邪魔をしていたわけではありません。
最初のレザーカスタムオーダー:コームケース
最初にオーダーさせていただいていたのが、日頃持ち歩いている私の櫛のケースでした。
海外出張が多い中で、身だしなみとして小さな櫛を持ち歩くことにしているのですが、ポーチの中で櫛が傷ついたり、折れてしまうのを避けるためにオーダーしました。一寸違わぬ採寸から出来上がった、厚みのある革がケースを守ってくれています。
今回のレザーカスタムオーダー:ギターストラップ
コームケースが出来上がったことで、どうやら自分の中の何かに目覚めてしまったらしく、帰宅後の月夜、酒と共に取った拙い筆で、作って欲しいものを描き始めていました。こんな時間が、大人になると贅沢に感じます。
フルカスタムオーダーの良さ
ただ単に、「欲しいものを描いてみよう」と思うようにしていました。ですが、人間、そんなに上手にできていません。抑制する思いとは反比例して、実現したい思いは募るばかり。既にこの時、オーダーすることになると確信していました。自分と向き合う時間、それもカスタムオーダーの一部として、時が動き始めていたのです
オーダーシートもカスタムメイド
出来上がった、子供じみた勝手な想いを詰め込んだラフデザインを持って、DARK END OF TH E STREETの中島裕さんを再訪しました。
なかなか面と向かって打ち合わせが出来ない出張続きである状況も踏まえて、カスタムオーダーを快諾してくださいました。
出来上がるまで日々、たった2ヶ月だったのに込めた想いも手伝って幾星霜のように感じました。
カスタムギターストラップ完成
平成が静かに幕を閉じ、令和最初の皐月が終わりかけた頃、完成の連絡を頂きました。たくさんの希望を一つも余すことなく入れ込んだギターストラップは、そのままの形で実体化されていました。
月の形のピックホルダーとはくちょう座(アルビレオ)
宮沢賢治は著書:銀河鉄道の夜の中で、はくちょう座の口元にある二重星:アルビレオを「“黄金と瑠璃”あるいは”青宝玉(サフアイア)と黄玉(トパーズ)”の大きな二つのすきとおった球」と表しています。
その一文を読んで以来、惚れ続けたあの星を抱くレザーストラップであってほしかったのです。
カービングで細かく描かれた中に、3種類の異なる素材ではくちょう座を描いていただきました。
いつか、何かに使うだろうと購入したブルースターサファイアは少し大きいがために、アルビレオの位置からはずらし、一石のセットをしていただきました。
この点も徹底的に相談に乗っていただき、最善の選択肢で作成することができました。
北極星
一方では、購入してからほぼ使うことがなかった、私のお気に入りのBill Wall Leatherのミッドスターというシルバーチャームを背中部分に配置・固定していただきました。
ミッドスターは、「船乗り達にとって、暗い夜の海でも方角を見失わないように、その拠り所として見上げ続けてきた北極星」をイメージされたシリーズです。
肩パッド
ギターを背負う上で、肩の部分には別の革を当て、クッションにしていただきました。
他の部分のステッチは灰色の糸で仕上げられていますが、肩パットの入っている位置だけ、青色の糸を使用していただきました。
名前入り
最後に、背面に名前を入れていただきました。
納品前最終作業
納品直前にとして、シールド(エレキギターとアンプを繋ぐケーブル)をギターストラップに固定できるようにするパーツを取り付けていただきました。
レザークオリティ
中島さんが、同封してくださった説明書きの通り、ここまでの写真紹介の写りからだけでも、最高級品質の革を使っていることがよくわかるかと思います。
カスタムオーダーのギターとストラップ
以前、フェンダーミュージックに勤めていた際の特権でオーダーさせていただき、2年越しで最近完成した特別なギターに、カスタムオーダーのギターストラップを纏いました。
今まで使用していたギターストラップよりは、もちろん重いです。しかし、一つわかったことがあります。それは、ギターストラップが太く、革が厚いことでしっかりと位置が固定されるため、スタンディングポジション(立って弾く位置)での弾きやすさ・安定性がとても良いということを体感しました。
なるほど、演奏時の指の動きにギターやストラップが反応してしまい、柔らかいストラップだと支えきれずに動いてしまうことで弾きにくくなるんですね。
さいごに
カスタムオーダーの良さ、楽しさにすっかり虜になってしまいました。想いを馳せる時間、筆で自らイメージを具現化する作業、作り上げていただきながら待つ時間、手元に届く喜び。それらが全て組み合わさって、カスタムオーダーが唯一無二の姿を形成します。そして、ただでさえ、フルカスタムオーダーになると値段が跳ね上がるイメージがありますが、DARK END OF STREETはかなりリーズナブルかと思います。
もし叶えたい想いがレザーのカスタムオーダーにあるのなら、DARK END OF STREET中島さんに相談してみてはいかがでしょうか。
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