秋が深まってきていますね。和菓子も然り。まだまだ残暑ですが、9月にはいると暦が秋に移り、和菓子もそれに習って、秋になりますね。
そんな初秋9月1日、訪れた叶匠寿庵で、新作であり10代目になるというあもが発売されました。
10作目は「あも 栗」でした。
あれ?これまで栗は出ていなかたんだっけ?と思ってしまいましたが、今回初なんですね。ここに来て、秋といえば代表的にフィーチャーされる栗が、季節限定あもの10代目としてリリースされたことに期待が溢れます。
叶匠壽庵
百貨店の和菓子コーナーで見かけることも多いかと思います。滋賀県大津市に本社を置く叶匠壽庵の代表的銘菓で、「あも」という和菓子があります。個人的に、和菓子の選択肢として、かなりの登場率です。そして、挨拶の品としても良く使わせていただいています。年間最低10本は買っているはず・・・。
話を戻して、聞くと少し間の抜けたような気がしますが、「あも」とは?
あも
あもの語源
宮仕えの上級女官を「女房」と呼んだ時代がありました。その「女房」の方々が使う女性らしい言葉で、餅を表すのがこの「あも」です。
あもって、どんなお菓子?
小豆餡で求肥を包んだ和菓子です。羊羹の中に求肥が入っているようにも聞こえますが、少し違います。羊羹のように裏ごしされた小豆餡で固まっているものではなく、優しく炊き込まれて形を残したままの小豆餡で求肥が優しく包まれているのです。
季節限定 あも(栗)
さて、10代目のあも(栗)です。
切り目を見るたび、相変わらずの大納言のあもに寄せる期待は最大限に広がります。しかし、栗はあまり主張してきませんでした。一見すると、栗は本当に入っているんだろうか?とも思えます。
正直、秋の栗、というとある程度馴染みもあります。その中で、商品説明にもある通り、そのまま栗を入れるだけでは、あまり魅力はないと思っていました。叶匠寿庵がアクセントとしたのは、この「ゲランドの塩」のようです。
僕としては、異なる何種類かの塩だけで日本酒を飲めるタイプなので、この塩によって味覚が大きく変わるというのはわかります。フランスの塩と聞いたことで、どのように仕上がっているのか、想像していたのはマイルドで、むしろ甘さを感じる程度の微かな塩気だろうと思いました。
この想像は当たりました。塩羊羹のような強い塩気はなく、あもに栗を融合させるためのつなぎのように感じます。他の菓子では、栗は固めに炊くので食感も非常に残りますが、あもの食感と合わせて同時に解けていく甘さを感じることができます。その解ける中で、大納言と異なる香ばしい栗の香りが広がる一品に仕上がっています。これまでのあもよりも、更に柔らかく感じることができました。
まとめ
なるほど、10代目にふさわしいとした理由はこれまでよりも、女房言葉の商品であるコンセプトを強く貫いていると感じることができる一品になりました。一段と深まってゆく秋の彩りの中で、柔らかくゆったりとした時間を10代目季節限定「栗あも」と過ごしてみてはいかがでしょうか?
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