freeeで法人成り – 個人事業主開業〜法人化〜個人事業主廃業

目次

はじめに

この度、訳あって法人(合同会社)を設立(通算2度目・8年ぶり)することにしました。法人設立の主な理由は、簡潔に以下3点です。

 

法人設立理由

  1. 個人収支からの会計をスムーズに分離するため
  2. 節税のため
  3. 法人化して、成功するため

 

どこにも手順が一連で記載されている情報が見当たらなかったので、個人事業主からの法人化、及び法人設立の備忘録として残し、ご覧頂く方のお力になれればと思いました。

 

背景

私はサラリーマンとしての会社勤めに加え、個人事業主として青色申告をしています。2018年中までは、やよいの青色申告オンラインを使用していました。多分、会計をイチから手取り足取り始める方には良いかと思いますが、J-SOX、IFRS、GAAP、non-GAAP等の経験までしていると色々面倒な点が目についてしまうので、会計ソフトをfreeeに切り替えることにしました。

 

会計ソフトをfreeeへ変更

会計ソフトfreeeをご存知の方も多いと思います。後発製品の優位点を活かし、中小企業クラスであれば十分すぎる会計機能を有しています。

 

問題点

それでも、問題点はあります。まず、各機能ごとにログイン画面が分かれており、各サービスにたどり着くまで大変です。

 

残念ながら、このUIは日本企業あるあるな気がします・・・。

 

UI以外にも、新規株式上場が決まった直後に年間ライセンス使用料が約10倍に値上げされたということでネットが盛り上がるということがありました。上場までの先行投資による赤字を回復するための値上げというスキームが常套手段になっていますね。

 

話が逸れてしまいましたが、会計ソフトfreeeは特に、個人事業主から法人化支援の導線が素晴らしいです。

 

会計ソフトfreee:個人事業主から法人化支援の導線

法人化支援の素晴らしい導線ですが、以下のようになっています。

 

  1. 会計freee(青色申告:個人事業)を契約(有料)する
  2. 会社設立freee(法人設立)に申し込む(無料)・法人会計freeeに申し込むと、電子定款認証料金5,000円が無料になる
  3. 法人会計freee(法人会計)に申し込む(有料)

 

会社設立freeeの通りやれば問題なく出来ます。ただし、初めて会社を設立しようとされている方にとっては、全体像としてはわかりにくい点も多く、効率よく済ませるためには全体の手順を認識した上で、事前準備を行っていく方が良いと思いました。この点を交えて、記載していきたいと思います。

さて、どうする?

さて、法人化するのは良いとして、個人事業から法人にするには、いつが良いだろう、と考えました。

 

法人成りタイミング・会計期間

個人事業の決算は一律で12月末日なのに対し、法人は決算を定款で指定することができます。そのため、法人は11月末日決算、12月1日から11月30日を会社の会計期間とすることにしました。

 

1ヶ月の重複を作っておき、かつ年末とは重ならないようにすることで、スムーズに移行が出来るようにしたいという思惑です。

 

ここからは、個人事業主としても開業されていない状態から、以下の手順で解説して行きたいと思います。

 

  1. 個人事業主開業
  2. 法人設立(会社設立freeeを利用)
  3. 個人事業主廃業

 

事前準備・手順

この手順では税理士や設立代行業を使用せず、出来るだけ効率よく、短期間でまとめて行うための事前準備と手順を以下にまとめました。ただし、コストや効率性を鑑みると、会社設立freeeをうまく使った方が良いと思いました。この点を踏まえ、個人事業主開業から記載してありますので、適宜必要な順にご覧いただければと思います。

 

1.個人事業主として開業する

最短1日で済ませられます。税務署までの往復1時間半の移動を含めても、私の場合は3時間で終わりました。

 

また、個人事業主の開業届は、開業から1ヶ月以内に提出すれば良いものになります。そのため、ほとんどの場合で、すでに印鑑はお持ちで、印鑑登録も済ませ、印鑑登録証明書も取得できる状態かと思います。

 

事前準備

  1. 実印として登録する印鑑を用意する

当日手順

  1. 印鑑登録する
  2. 印鑑登録証明書を取得する
  3. 青色申告承認申請書開業届を、開業から1ヶ月以内に所轄税務署へ提出する

 

以上で、個人事業主開業は完了です。

そしてここからが、法人化の手続きです。2019年11月中に諸々の作業を進めておきました。

2.法人設立を申請する

法務局での申請、書類提出は半日あれば終わります。ただし、定款に名を連ねる代表者の印鑑証明書取得、定款の準備・認証での専門家とのやりとりや書類準備を含めると、2〜3日の事前準備が必要になります。

 

また、電子定款にすることで、紙定款に比べて40,000円の印紙代節約が可能ですので、今回の手順では電子定款を採用します。

 

会社設立freeeでの手順

会社設立freeeで行っていくと以下の画面から始まります。

 

次のページまで進み、それぞれ手順を終えます。

 

注意

上記画面、最後のボタンで少し迷うかなと思いました。理由としては、「登記事項証明書に記載された設立日を登録しましょう」とあるので、登記が完了するまではその次のページへ進めず、何を準備してよいのかわからなくなる点です。

 

ですので、この項目を終えて迷ったら、次の手順をご覧頂き準備を進めて頂く方が良いかと思います。

 

事前準備

会社設立freeeにもありますが、事前準備を記載すると以下になります。

 

  1. 法人印(角印・丸印・銀行印)を購入する
  2. 出資する社員の印鑑証明書を取得する
  3. 定款を準備し、認証を受ける
  4. 資本金を振込をし、入金を証明するコピーを取得する
  5. 書類を準備する

 

準備する書類

法務局へ行くまでに準備をする書類一式は、以下の通りです。

 

  • 登記申請書
  • 登録免許税納付用台紙
  • 就任承諾書
  • 代表社員、本店所在地及び資本金決定書
  • 払込を証する書面
  • OCR用紙
  • 印鑑(改印)届書
  • 電子定款とする場合、電子定款を保存したCD-R
  • 電子定款をプリントアウトし、控えを作成する

 

電子定款であれば、上記書類一式の中や法務局への提出には必要ないこともありますが、法人設立が承認された後の税務署、税事務所、役所の訪問時に必要になりますので、先に用意しておいた方が懸命です。

 

書類の綴じ方

会計ソフトfreeeで、書類の綴じ方が丁寧に紹介されていますので、ご参考になるかと思います。

 

当日手順

  1. 法務局窓口で登録免許税用の印紙60,000円を用意する
  2. 法人設立の書類を提出する

 

事前準備は大変ですが、法務局での作業はあっという間で終わります。法人登録手続き完了予定日を書類で受け取ります。申請書類に問題がなければ、提出日が法人設立日となります。問題があれば、指定した連絡先に電話がかかってきます。

 

この日から法人登録完了予定日まで、約1週間ほどあります。その間に、先述した会社設立freeeの画面では先に進んではいけなさそうな表示(「登記事項証明書に記載された設立日を登録しましょう」)が出現しますので、以下をご覧いただきご用意された方が良いかと思います。

 

3. 法務局、年金事務所、税務署、都道府県税事務所、市区役所へ行く

法人が登記完了したら、登記事項証明書(全部事項証明書)を取得するため、法務局を再訪します。この登記事項証明書(全部事項証明書)がないと、年金事務所・税務署・都道府県税事務所や市区町村役所への書類提出ができないからです。

 

平成29年度税制改正から、登記事項証明書(全部事項証明書)の提出が不要とはなりましたが、1部取得しておけば、以降の手続きではコピーを提出するだけで済みます。

 

各訪問先が分散していたりすることもありますので、この手順を終えるために1日かかってしまうかもしれません。逆に言えば、1日で全てを終わらせることができます。

事前準備

以下の書類準備が必要になります。

 

準備する書類
年金事務所用
  • 健康保険・厚生年金保険新規適用届

後述しますが、従業員雇用もなく、役員報酬を0円とすれば、年金事務所と労働基準監督署とハローワークへは行く必要がありません。副業で法人を設立する方は、同じではないでしょうか。

 

税務署用
  • 法人設立届出書
  • 株主名簿
  • 青色申告の承認申請書
  • 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
  • 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
  • 設立時貸借対照表
  • 定款のコピー

 

都道府県税事務所用
  • 法人設立届出書
  • 定款のコピー
  • 登記事項証明書のコピー

 

市区町村役場用
  • 法人設立・設置届出書
  • 商業登記簿謄本(履歴事項全部証明書) の写し
  • 定款等の写し

 

当日手順

私の場合、従業員雇用もしませんし、役員報酬は0円としますので、年金事務所と労働基準監督署とハローワークへは行く必要がありませんでした。副業で法人を設立する方は、同じではないでしょうか。

 

  1. 法務局で、登記事項証明書(全部事項証明書)取得する
  2. 年金事務所で、書類を提出する(従業員を雇用せず、かつ役員報酬を0円とする場合を除く)
  3. 税務署で、書類を提出する
  4. 都道府県税事務所で、書類を提出する
  5. 市・区役所で、書類を提出する(登記する市区町村に依存する)

 

これで法人化のための手続きは、全て終了となります。お疲れさまでした。

あとは、2019年が終わり、入出金が全て終わった段階で個人事業主の廃業を行うだけです。

 

4.個人事業主廃業

上述の通り、確定申告に備えて、全ての入出金が完了した段階で個人事業主廃業の準備をします。特に事前準備はなく、税務署と都道府県税事務所へ行き書類提出をするだけです。

 

事前準備

特にありません。

当日手順

  1. 税務署で、個人事業の開業・廃業等届出書を提出する
  2. 都道府県税事務所で、事業開始(廃止)等申請書を提出する

 

さいごに

もちろん、書類提出等は終わりましたが、稼働開始出来るまでにはまだまだたくさんの作業があります。名刺やウェブサイト、メールアドレス、ドメイン、表札、細かいものであれば、請求書や見積書の準備など・・・。こういった作業も含めて、会社設立は楽しいですね。

 

この記事をご覧頂いた方の会社設立が、うまくいくことを願って、この記事を終わりにしたいと思います。

 

追記

ちなみに、私は今回、MAGi Consulting合同会社を設立いたしました。

幅広い領域において、バイリンガルでグローバルにコンサルティングさせていただきます。ご用命があれば、ぜひお問い合わせください。

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